VOL.347 文庫本で読む格闘技 PART14


 随分と久しぶりになってしまいました。格闘技関連文庫本特集の第14弾です。2021年以降に刊行されたものを集めました。前回が2冊しかなく、コロナ禍もあり、あまり出ないなあと思っていましたが、最近は宝島文庫からちょこちょこ出るようになり、いつの間にかそこそこ溜まっていました。
 後楽園ホール近くの山下書店もなくなってしまいました。神保町の書泉グランデは健在です、ネットでも買えるはずです。バックナンバーでも紹介していますので、この機会に読むプロレスはいかがでしょうか。
「2011年の棚橋弘至と中邑真輔」 柳澤健著
(文春文庫) 2021 年1月10日初版発行 930円+税

スポーツライター柳澤健氏の「XX年の○○」シリーズは、他にも「1976年のアントニオ猪木」、「1964年のジャイアント馬場」、「1985年のクラッシュギャルズ」、「1984年のUWF」などがあり、どれもとても詳しく面白いです。それぞれの特別な1年について描かれるのですが、猪木信者で、闘魂三銃士世代の私には、第三世代のプロレスには物足りなさを感じていました。プロレス人気も下降していました。そんな2011年に新世代として現れた棚橋弘至と中邑真輔の2人は新日本プロレス人気を盛り返した立役者でした。


「猪木伝説の真相 天才レスラーの生涯」 アントニオ猪木+佐山聡+前田日明+蝶野正洋+天龍源一郎ほか著
(宝島社SUGOI文庫) 2022年2月18日初版発行 800円+税

 宝島ムックの文庫化で、あるテーマについて選手たちが語っていく形式のものです。テーマは猪木伝説ということで本人と弟子たちや関連の深い人たちが登場します。ムックが出た2019年は、猪木はまだ健在で、文庫化された時は一度入院し、退院した後でした。馬場も猪木がいない時代が来てしまうなんて想像もしていませんでした。


「最後に勝つ負け方を知っておけ。」 アントニオ猪木著
(青春文庫) 2022年6月20日初版発行 850円+税

 プロレス最強を掲げて闘ってきた猪木ですが、常に勝ってきたわけではありません。負けたところからどうやって立ち上がっていくのかもプロレスの醍醐味です。そんな猪木の勝負論が展開されます。イノキが亡くなる直前は、いくつかの著書が刊行され文庫化もされました。この本と単行本を買うと抽選で猪木の直筆サイン色紙が当たるというキャンペーンがあり、当選しました。猪木最後のサインの貴重な1枚です。


「苦しみの中から立ち上がれ アントニオ猪木「闘魂」語録」 アントニオ猪木著
(宝島社SUGOI文庫) 2022年6月21日初版発行 800円+税

 宝島SUGOI文庫化で、猪木の名言を集めて編集したものです。この時期に刊行されたのは偶然か、何か予感のようなものがあったのでしょうか。


「完全版 さよならムーンサルトプレス」 福留崇広著
(徳間文庫) 2023年1月15日初版発行 1000円+税

 2019年5月に武藤敬司の35年間のレスラー生活の全記録として書かれたものに、2023年2月21日の引退に向けて、最終章が追加されました。まさに完全版です。読み応えがあります。


「証言 橋本真也 破壊王とアントニオ猪木「相克」の真相」 長州力+佐山聡+前田日明+藤波辰爾ほか著
(宝島社SUGOI文庫) 2023年8月18日初版発行 1300円+税

 宝島ムックの文庫化で、あるテーマについて選手たちが語っていく形式のものです。テーマは橋本真也、特に師匠でもあった猪木と確執について関係者が証言します。2人とも亡くなったので語れるようになったということでしょうか。


「2000年の桜庭和志」 柳澤健著
(文春文庫) 2023 年9月10日初版発行 1050円+税

スポーツライター柳澤健氏の「XX年の○○」シリーズで、「2011年の棚橋弘至と中邑真輔」が最後かなと思いましたが、桜庭がいました。2000年の桜庭和志も確かにとても興味深いです。


「真・プロレスラーは観客に何を見せているのか」 TAJIRI著
(徳間文庫) 2023 年9月10日初版発行 1000円+税

理論派のTAJIRIのプロレス論ということで期待していたのですが、個人的にはあまり響くものがありませんでした。


「シュートマッチ プロレス「因縁」対談10番勝負」 アントニオ猪木+長州力+天龍源一郎+藤原喜明ほか著
(宝島社SUGOI文庫) 2024年4月17日初版発行 909円+税

 宝島ムックの文庫化で、タイトル通り因縁の2人による対談集です。猪木と石井館長、藤浪と長州、鞍上と坂田、大谷と大地、ターザンと永島など興味深い顔合わせです。


「プロレスラー、ラーメン屋経営で地獄を見る」 川田利明著
(宝島社SUGOI文庫) 2024年5月21日初版発行 900円+税

 宝島ムックの文庫化ですが、一風変わって、ラーメン屋に転身した川田利明のラーメン奮闘記です。麺ジャラスK一度は行ってみたいと思っているのですが。


「証言 長州力 在日レスラーの反骨と革命」 前田日明+ミスター高橋+藤原喜明+金本浩二ほか著
(宝島社SUGOI文庫) 2024年7月17日初版発行 909円+税

 宝島ムックの文庫化で、長州力についてのインタビュー集です。長州も引退して随分立ちました。今では現役の頃の面影は全くありませんが、当時のことが色々と描かれています。