VOL.48 文庫本で読む格闘技


 以前にもプロレスの本特集をやりました(こちらを参照下さい)が、今回はそれ以降に発売された格闘技に関する文庫本を特集します。是非、読んで見て下さい。
「もう一人の力道山」 リスンイル著
(小学館文庫) 1998年5月1日初版発行 571円

 朝鮮籍を持つ在日コリアン3世である著者の「21世紀国際ノンフィクション大賞」候補となったデビュー作を全面改稿したもの。力道山と同じ在日朝鮮人であるという立場から、力道山の生涯と悲哀を描く。


「ファイヤーボール・ブルース」 桐野夏生著
(文春文庫) 1998年5月10日初版発行 476円

 直木賞作家である著者による女子プロレスを舞台にした殺人事件を描く推理小説。火渡抄子はニックネームが「ファイヤーボール」でそれがタイトルになっている。モデルは神取忍。女子プロレスの世界がうまく描けている。


「獅子の門1〜3」 <群狼篇> <玄武篇> <青竜篇> 夢枕漠著
(徳間文庫) 1999年1月15日〜3月15日初版発行 各533円

 プロレスファン、格闘技ファンとして知られる著者による格闘小説。様々な格闘技界の様々な格闘家たちが出会い、修行し、闘うというもの。著者の作品は格闘技ファンなら面白くて仕方ないという作品が多数ある。この作品もまだ完結しておらず4以降も刊行予定。


「烈闘生 傷だらけの履歴書 増補改訂版」 武藤敬司・蝶野正洋・橋本真也共著
(幻冬舎アウトロー文庫) 1999年4月25日初版発行 762円

 1996年11月、闘魂三銃士と呼ばれていた頃の武藤・蝶野・橋本がインタビューに答えるという形で自分の半生を語ったものです。文庫化にあたり、1999年3月に行われたインタビューにより、前回以降の部分が加筆されました。内容も充実し、値段も安くなったのでお得です。


「新・馬場派プロレス宣言」 栃内良著
(小学館文庫) 1998年11月1日初版発行 514円

 社会風俗、スポーツ、音楽を中心にエッセイ、ルポタージュ、小説を手がける作者は、大の馬場さんファンでもある。その作者の馬場さんに対する思いを熱く綴ったもので、馬場さんが亡くなる直前に刊行された。猪木信者のこうした本は多数あるが、馬場さんのものは珍しい。


「風と拳−小説・大山倍達」<修行篇> <雄飛篇> 大下英治著
(廣済堂文庫) 1999年9月1日<修行篇> 10月1日<雄飛篇> 初版発行 各571円

 「小説電通」で作家デビューした著者によるドキュメント小説。極真会館の創始者である大山倍達の生涯を描いたもので、<修行篇>では誕生からアメリカ遠征に旅立つまでの苦闘時代を描く。フランシスコ・フィリオのインタビューも収録。<雄飛篇>ではアメリカ遠征で名声を得てから亡くなるまでを描く。力道山との出会いも描かれている。松井章圭のインタビューも収録。